第121章 私が欲しいの?

永井遥香は黙ったまま前方を見つめていた。だが、ハンドルを握る手には、はっきりと力がこもっている。

「彼に、そうしろって言われたの?」

杉浦杏奈がもう一度問いかける。

永井遥香は二秒ほど沈黙し、それから口を開いた。

「灰原社長のご意向です。でも……全部を知っているわけではありません」

「あなたが知ってるのは、どこまで?」

杉浦杏奈はシートに身を預けた。怒っているふうではない。むしろ、口元にはうっすら笑みさえ浮かんでいる。

永井遥香は、また黙った。

話すべきか。話すとして、どこまで話すべきか。

そもそも彼女自身、そこまで多くを知っているわけではない。永井明も、すべてを打ち明けて...

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